徳機株式会社 エコ事業部-山口県周南市企業情報データベース「じゃから、周南」

  • 周南市ホームページ
  • しゅうなんマイスター
00099050
TOP > 周南市を拠点に頑張る企業 > 徳機株式会社 エコ事業部
周南市を拠点に頑張る企業Company of Shunan city

徳機株式会社 エコ事業部

徳機株式会社 エコ事業部

〒745-0802 山口県周南市栗屋字奈切50-5
樹脂チップ設備の製造・販売
廃棄物を減らし、エコノミー&エコロジーを目指す企業
周南市は、日本有数の化学プラント集積地域である。その周南市で、徳機株式会社は1934年(昭和9年)に創業し、石油科学プラントの設計・製造で高い技術力を持ち、特に極厚・大型圧力容器鏡板の製造においては、国内トップメーカーである。
 同社は、2002年(平成14年)10月に新しくエコ事業部を設立。同事業部において化学樹脂チップ加工の新技術を開発し、地域経済を支える企業群と連携、生産の効率化と同時に環境問題に力を入れている。
岡田哲矢社長岡田哲矢社長
化学製品の基盤となる樹脂チップ加工
ポリエステルやナイロンなどは、石油から採れる原料などを高温・高圧で反応させ、それぞれの特性を持った樹脂を製造することから始まる。樹脂は反応塔と呼ばれる施設を出た後、棒状に抽出され、冷却・切断することで2~3ミリほどの樹脂チップとなる。これが各種化学製品の原料である。繊維メーカーは樹脂チップを原料として繊維を製造し、ペットボトルや各種プラスチック製品は樹脂チップを成形・加工することで製造される。
 樹脂製造はあらゆる化学製品の基盤であり、樹脂チップ加工は、その樹脂製造の重要な工程の一つである。しかし、この樹脂チップ加工においては一つの課題があった。それは樹脂を切断する刃物の磨耗対策である。樹脂は反応塔と呼ばれる巨大な施設で大量に高温高圧反応させてできるが、そこから出た樹脂は配管内でも反応が進むため、決められた時間内に冷却・切断を行なう必要がある。切断工程で刃物が磨耗すると交換しなければならないが、その交換の間にも樹脂はどんどん送られ、大量の樹脂廃棄物が発生してしまう。もちろん、これらの樹脂廃棄物を、もう一度反応塔に戻して原料にすることは可能だが、手間とともに再び高温高圧反応させるエネルギーの無駄は膨大なものになってしまう。
 刃物の寿命を延ばし、交換回数を減らすことができれば、樹脂製造を飛躍的に効率化するとともに、膨大な無駄を減らすことができる。この課題に取り組んだのが、同社である。
エコ事業部エコ事業部
樹脂チップ樹脂チップ
プラスチック製品プラスチック製品
独自の技術開発
同事業部の中村部長は樹脂を切断する刃物の磨耗対策に取り組み、二つの方法を考えた。一つは刃物自体の耐久性を上げること、そしてもう一つは刃ものが棒状樹脂に当たる箇所を連続的に変えることで、磨耗を平均化し、全体としての寿命を延ばすことである。
従来機では、棒状樹脂が固定されたガイドに沿って送られてくるため、ガイドの谷の先になる刃物の特定部分が先に磨耗し、ガイドの山の延長線上にある刃物の部分は磨耗していなくても交換する必要があった。これを何とかしようとして考えついたのが、「トラバースガイド機構」である。
トラバースガイドトラバースガイド
トラバースガイド
廃棄物半減技術の相乗化で、廃棄物を4分の1に
トラバースガイド機構とは、棒状樹脂のガイドを左右にゆっくりとスライドさせる装置であり、これによって刃物と棒状樹脂が接触・切断する箇所が変化し、磨耗を均一にすることができる。従来では使われなかったガイドの山部分の延長線上の刃を使うことで、刃物の寿命は2倍になる。
 開発は他企業との連携・協力も得て進められた。試運転やチップ材質確認では、ユーザーとなる樹脂製造会社の株式会社イチキン(周南市)と連携。そして刃物寿命延長のもう一つの鍵、刃物耐久性の向上については、鋼鈑工業株式会社(下松市)が金属表面加工(ハードコーティング)とともに、素材開発を担当。切断する樹脂それぞれの特性に応じた刃物を開発・選定することにより、刃物寿命を倍にすることとした。また、山口県産業技術センターからは技術開発全般における指導を受けることができた。
 トラバースガイド機構で刃物寿命を2倍にし、廃棄物を半減する。さらに刃物自体の耐久性向上で寿命を倍化し、廃棄物を2分の1にする。二つの技術を組み合わせることで、廃棄物は4分の1となり、生産コストの大幅削減(エコノミー)と環境面での貢献(エコロジー)という二つの「エコ」の実現を目指した。
 トラバースガイド機構を搭載した徳機製「ストランドカッター」は実用化に成功し、2007年(平成19年)に山口県産業科学技術振興賞に輝く。また、ペレットの転がり摩擦を利用した、カスケード型セパレーターを国産品としては初めて実用化する。従来のカスケード型セパレーターに更なる改良を加えた「Vセパレーター」の開発により目詰りの発生を大幅に改善することに成功、こちらは2008年(平成20年)、周南市ものづくりブランド品の認定を受けた。
 樹脂チップ設備の連携事業や樹脂製造におけるエコノミー&エコロジーを実現させたことは、新事業を模索していた同社にとって大きな布石となり、地域活性化の一助ともなっている。
ストランドカッターストランドカッター
共同開発の新型刃物共同開発の新型刃物
Vセパレーター VS-2000Vセパレーター VS-2000
Vセパレーター VS-600Vセパレーター VS-600

~取材日:2012年7月~

企業情報検索